花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは。
徒然草(137段)の一節です。
春になるといつも思い浮かぶフレーズでもあります。
桜の花は満開の時に、
月は雲がかかっていない時に
見るばかりが良いとは限らない。
固く閉じた梢。
花が咲き終わった枝や庭。
雲で隠れて見えない月。
そういうのだって、風情があるものだよ。
…と兼好法師は言っていますが、何だかわかる気がします。
桜の花が散って、その下をピンクの絨毯さながらに染めるのも、
細くたなびく雲が月の前にかかるのも、
幻想的で刹那的で、生を実感できる景色だと私はいつも心を奪われてしまいます。
今年も桜の季節になりましたね。