塾長ブログ

ひたすら聴く。

来週から本格的に始める「聴く力トレーニング」。みがくで定期的に行っている学習です。
私は予備校講師や塾講師の他に、長年、家庭教師もしていました。組織には所属せず、口コミのみの家庭教師で、10年ぐらい続けたのかな。その中に不登校の女の子がいました。私が教えた当時、彼女は高校2年生。中学3年の時に学校に行けなくなったそうです。
接していても、普通の女の子に感じました。
甘いお菓子や、流行りの洋服や、ジャニーズ(嵐)が好きな、本当に普通の女子高生に見えました。ただ、気分の波が激しく、ケラケラ笑っていたかと思えば、次の瞬間、厭世的な言葉を口にします。「先生、わたし最近調子が良いんだ~♪今度一緒にマックに付き合って!」と言うので、実際に日時を決めて約束しても「昨日から体調が悪くなって出られない…」。
その繰り返しでした。
きっと彼女だけではありません。
この世の中、「ギリギリの人」だらけだと思います。
ギリギリの人の心は、洗面器に水がたぷんたぷんに入っているのと同じ。いつ水が溢れ出るか一触即発の状態です。
その洗面器には、不満・不安・悲しみ・苦しみ・妬み・焦り・怒り・疎外感・孤独感…様々なマイナス感情の水がたっぷり入っています。
一体どうしたらその洗面器に入っている水が減るのでしょうか。もちろん、根本的に全ての水を無くすのは不可能です。そもそも全て減らす必要はないと思います。人間だもの、マイナス感情もあって当然です。ただ、あまりに多すぎると心にも体にも支障が出てくるので、水は少しでも減らすように務めなくてはなりません。
マイナス感情を減らす方法の1つ。
それは、「話を聴いてあげる」ことです。
ただただ静かに、親身になって話に耳を傾けることです。たまに質問をしたり、うんうんと相槌を打ったりしながら、その人に沢山話をさせるのです。不満も不安も全て聴いてあげると、相手の心の洗面器の水がどんどん少なくなってきて、その分、相手の心にほんの少し余裕が生まれます。
私が不登校の彼女の勉強を見ていた時。
あまりに態度が後ろ向きで「これは勉強どころではないな」と判断したときには指導を諦めて、よく話を聴いていました。とことん話をさせて、マイナス感情全てを吐き出させようと心掛けました。そしてスッキリした表情になったところで勉強を再開させたものです。
心に寄り添って!…などとよく言われますが、実際に相手の心に寄り添うのは難しいことです。心は当の本人しか見えないからです。いや、当の本人にも見えていないことがあります。だから本人に話させるのです。
発する言葉が全て真実とは限りませんが、それでも本人が語る言葉には「心」が見え隠れします。思っていることを全て話させることができたら、自身の考えが整理されることもあります。そして、たっぷり入っていた心の洗面器の水は少なくなるはず。そう信じてひたすら話を聴きました。とは言え、最初はなかなか話してくれませんでしたがね💦
2年をかけて焦らずじっくり向き合いました。
簡単には書き表すことができない紆余曲折を経て、彼女は浪人することなく(実質、浪人状態か…)、法政大学に合格しました。
国語偏差値48からの逆転ホームランでした。
その頃から、「聴く力」の大切さを改めて痛感した私は、みがくでもそれを生徒たちに伝え、指導し続けています。


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