先日、とある会社の社長と会食をする機会が
その社長のお話の中で、オカシな表現があったのでご紹介します。
社長「…もっと厳しく接しないとアイツのためにならない!‘情けは人のためならず’って言うからな」
情けは人のためならず。
よく使われる慣用表現ですよね。
でも、社長のように意味を取り違えて用いている人に多く出会います。
「情けは人のためならず」というのは、
情けをかけるのは相手にとって良いことではない。相手のためにならない…という意味ではありません。
人に情けをかけると、それは結局自分に返ってくるんですよ。自分の徳につながるんですよ。
という意味です。
要するに、「情けは人のためになるのではなく、自分のためになるんだ」ということなんですね
この言葉、語源は南北朝時代頃(1300~1400年代初)に成立した「曾我物語」が出典だと言われています。
結構古い時代から使われている言葉なんですよ~
当時は戦乱の世。
仏教思想の1つである「因果応報」という考え方が常識化していました。
因果応報の本来の意味は、「過去世での自分の行ないが現世や来世の自分に返ってくる」というものです。
次第にもう少し具体的に…「良い行ないをした人には良い報いが、悪い行ないをした人には悪い報いがある」という意味でも使われるようになりました。
「情けは人のためならず」という言葉は、この因果応報の考え方がベースになっているようです。
もう少し長い表現で、
「情けは人の為ならず。めぐりめぐりて己(おの=自分)が身のため。」と使われることもあります。
相手のためにと善意を尽くしたことは、自分の徳として必ず存在(魂)に返ってくるんだよということです。
欲得のためではなく、己の「良心」に従ってさり気なく善を施せる人って素敵ですよね。
自分もいつもそうありたいなぁと思います。