「気の毒」という言葉。
「他人の不幸や不運をかわいそうに思う」気持ちを表しますよね。
しかし、江戸時代までは「自分にとって不快なこと、気掛かりなこと」という意味で用いるのが一般的でした。他者ではなく、自分のことに対して使う言葉だったのです。
「気の毒」の語源は、「心の毒になるようなことやモノ」で、自分にとって心労やストレスのもとになるものを指しました。
そして、毒と言えば薬。室町から江戸時代にかけては、「気の薬」という言葉も使われていたのです。文字通り、「気(=心)の薬になるようなこと」という意味で、心が明るく晴れるようなことや、慰め癒されるものなどを指していました。
「かの人の笑みたる顔はまこと気の薬ぢや」(=あの人の笑顔は本当に気の薬だよ。)というように。
現代ではすっかり使われなくなりましたが、私は好きですよ、この言葉。
ストレス社会と言われて久しいこのご時世。
気の薬を沢山持っている人こそ、タフに生き抜いていけるのではないかと思います。
あなたにとっての気の薬は何ですか。