国語塾みがくに通っている生徒の中には受験生がいます。
その中のТくんは、国立理系の学部を志望している生徒です。
理系なので、センター試験が終わったら教科としての国語はもう使いません。
来月半ばからの2次試験に向けて、理数教科を猛勉強しているところです。
私たちの役目は終わった…と思っていた矢先のこと。
みがくの授業日にТくんは普通どおりやって来ました。
最後の挨拶と試験の報告に来たのだろうと思っていたら、彼の口から意外な言葉が!
「来月の2次試験にはもう国語は使わないけど、通える限りずっとここに通いたいんです」
とても驚きましたが、気を取り直して説得を開始しました。
「Тくん、気持ちはとてもありがたいけど、物事には優先順位というものがあると思うんだ。今は来月の二次試験に向けて、試験科目に集中して勉強するべきだよ!」
ところがТくんは引き下がりません。
「自分はまだまだ国語力が足りない。社会に出てからもきっと困ると思う。できれば、社会人になるまでずっと通わせてほしい」
そう言うのです。
お母さんは何と言っているの?…と聞くと、
「母も同じ意見です」と。
口ではもう少しよく考えてみて、とは言ったものの、とても感動しました。
自分の取り組んでいることや思いが、Тくんにもちゃんと届いていたんだ。
そう思ったら、嬉しくて涙が出そうになりました。
受験生ということもあって、ここ数ヶ月は「試験対策指導」に重点を置いてきました。
今後はТくんにも、本当の意味での国語力養成のための指導をしていく予定です。
Тくんの熱意にしっかり応えられるよう、私もますます尽力していきたいと思います。