現代語の「嫌だ」「不快だ」に相当する古語に、「むつかし」と「うたてし」があります。どちらも心情を表す形容詞なのですが、両者には微妙に違いがあります。
⭐️むつかし
気味が悪い/不快だ/煩わしい・面倒だ/鬱陶しい
⭐️うたてし
嫌だ/気に入らない/情けない・嘆かわしい
「むつかし」は心がザワザワするような不愉快さや、気持ち悪さ•気味の悪さを表すのが基本的な意味で、そこから「しつこくされて鬱陶しい」「面倒臭い」という意味が派生したと言われています。
一方「うたてし」は、思っていた以上に事態が悪い方向に進む状況を表します。目の前の出来事を指して、「ひどい」「嫌だ、嫌いだ」「情けない」と嘆く場面で使いました。
今の言葉で考えてみると、
•誰かがしつこく話しかけてくるとき→むつかし
•ゴキブリが部屋にいるのを見たとき→むつかし
•やるべきことが多すぎるとき→むつかし
•みんなの前で派手に転んだ時→うたてし
•いじめられている子を見かけたとき→うたてし
ちなみに、「うわっ!ゴキブリだ!きもっ!」を話し言葉で古語訳すると、「あなむつか、つのむしや」となり、
「もう!本当にウザいわー」は、「あなにく、げにうたて」となります。
良かったらぜひ使ってみてください😁
現代と平安時代とでは環境も文化も大きく異なるので、今の感覚を当時のものに当てはめるのはどうしても限界があります。それでも、巨大な蜘蛛が頭に落ちてきたら「うわっ!」となりますし、大勢の人の前で恥をかいたら「ああ、もうイヤ〜!」となります(笑)。それは何千年経っても同じでしょう。
言葉遣いや生活環境がどんなに変わっても、人間の感情の根源は大きく変わらないものだからです。