江戸時代の国学者である本居宣長。著者の「うひ山ぶみ」から有名すぎる一節をご紹介します（わかりやすくするために一部を漢字変換しますね）。

学問は、ただ年月長く倦（う）まず怠らずして励み努むるぞ肝要にて、学びやうは、いかやうにても良かるべく、さのみかかはるまじきことなり。いかほど学び方良くても、怠たりて努めざれば功は無し。

また人々の才と不才とによりて、その功いたく異なれども、才不才は、生れつきたることなれば、力に及びがたし。されど大抵は、不才なる人といへども、怠らず努めだにすれば、それだけの功は有るものなり。また明日晩学の人も努め励めば思ひのほか功をなすことあり。また暇の無き人も、思ひのほか、暇多き人よりも功をなすものなり。されば才の乏しきや、学ぶことのおそきや、暇の無きやによりて、思ひくづをれて止むることなかれ。

意訳するとこんな感じです。

学問というものは、投げ出さず怠けず、長い年月をかけて努力することこそが大事だよ。学び方がどうとか、そんなにこだわらなくても良い。たとえどんなに学び方が良かったとしても、怠けてしまったら成果は出ないしね。才能のある人と無い人とでは成果は変わってくるものだけど、その才能とやらは持って生まれたものだから我々にはどうしようもない。だけど才能がない人でもなまけずに努力を続けてさえいれば、頑張っただけの功績はあるものだよ。年を重ねてから学び始めた人でも、努力を重ねることで予想以上に成功することだってある。忙しくて時間がない人のほうが、たっぶり時間がある人よりもむしろ成功するのもよくある話だ。

歩みを止めると成長も止まってしまう。「自分には才能がないから…」とか、「勉強するのが遅すぎたから…」とか、「時間がないから…」などと諦めたりしないで、まあコツコツと頑張っていこうじゃない。

…要するに、「勉強するなら、なまけずに努力しろ」と言っているわけです。宣長の言いたいことはよく分かるし、まさに正論なのでしょう。しかし、口で言うほど決して簡単なことではありません。投げ出さず、諦めず、足を止めずに努力できるのも才能の一つなのかもしれませんね。