悲観、泣き言、不平、皮肉、非難、諦め などに心を分かつ大人があれば、それは「若さ」を失い老衰の域に入った兆候である。
これは、情熱の歌人•与謝野晶子の言葉です。
晶子はかねてより「源氏物語」の現代語訳を手がけていました。ところが、関東大震災による火災で原稿を消失してしまいます。10年以上の歳月をかけてコツコツと書き溜めていた千枚を超える原稿、しかも完成間際だったとも言われる努力の結晶が、一瞬にして灰燼と化してしまったのです。
しばらくの間は失意に沈んだ晶子でしたが、自らを奮い立たせて前を向きます。それこそ、諦めや不平に心を支配されても不思議ではない状況でしたが、晶子は気持ちを切り替えました。「また一から始めればいい」と再びペンを握り、震災から16年後の1939年、ついに現代語訳を完成させたのでした。そのとき晶子は60歳。ものすごいバイタリティだと思いませんか?
「若さ」や「老い」は年齢的なものだけではなく、心の持ちようにも影響します。新しい変化を受け入れられない硬直した心や、チャレンジ精神の枯渇、他責の念。それこそが「老い」の兆候であると晶子は言います。
「無理だ」「もうダメだ」「あいつが悪い」ではなくて、「まだやれる」「なるようになる」と前向きに捉え、「いつもありがとう」と周りの人に感謝できるうちはきっと老いることはありません。せめて気持ちだけでも若々しくありたいものです。